友の会ニュースTOMONOKAI NEWS

2017年3月10日(金)
こんにちは。愛知県豊橋市・豊川市にある「ユタカ保険代理店」の塩之谷です。
本サイト(ユタカ「交通安全友の会」のサイト)の連載では、
“自転車保険って入る必要があるの?”
“そもそも、自転車保険ってどういう保険なの?”
といった「自転車保険のキホン」について、全5回にわたりご説明します。
どうぞよろしくお願いいたします。
春は、お子さまの新生活への準備がはじまる時期ですよね。
通学や塾への往復などで慣れない道路を使うようになり、
お子さまの「自転車事故」を心配される保護者の皆様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな保護者の皆様に、自転車事故の現状やどんな自転車事故が多いかなどについてお話しします。
最近では、自転車事故の裁判で、5,000万円以上の高額賠償の判決が下されたこともあります。自転車保険に入っていないため賠償金が払えずに、やむを得ず自己破産をする方もいるようです。
自転車は手軽に乗れる半面、乗り方によっては凶器にもなりえます。万が一の事故により、自分も加害者になるかもしれないといった意識が必要ですね。
判決認容額 |
事故の概要 |
9,521万円 |
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車 |
9,266万円 | 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜 めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳) と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。 (東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決) |
6,779万円 |
男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走 行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性 は脳挫傷等で3日後に死亡した。 (東京地方裁判所、平成15(2003)年9月30日判決) |
5,438万円 |
男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で |
4,746万円 |
男性が昼間、赤信号を無視して交差点を直進し、青信号で横断歩道 を歩行中の女性(75歳)に衝突。女性は脳挫傷等で5日後に死亡し た。(東京地方裁判所、平成26(2014)年1月28日判決) |
まず、近年の交通事故の数について、みていきましょう。
車や自転車などを合わせた交通事故死傷者数については、実は、年々減少しています。しかし、自転車事故の死傷者数は依然、交通事故死傷者数のなかの2割程度を占めています。
最近の自転車事故には、次のような傾向があります。
・車の事故は全国的に減少傾向ですが、自転車事故の割合は少なくならないこと
・若年層の小学生、中学生、高校生の自転車事故件数が多く、負傷者数も多いこと
・自転車対歩行者の事故(特に対高齢歩行者)が深刻であること
自転車には車のような免許制度がなく、車に比べて誰でも簡単に手軽に乗ることができます。その反面、適切な交通教育(ルールやマナー)を教わることがないまま、公道を走る方がほとんどです。
自転車の違反の大半は、安全不確認・ハンドル操作不適・一時不停止といった、少し意識をすれば気を付けることのできる違反が多いことが現状です。
自転車を運転している人には、自分が違反行為をしているという自覚がありません。そのうえ、その違反行為が原因で加害者になるかもしれないといった加害者意識については、いっそう低いかもしれません。
自転車には車のように、自賠責保険のような強制加入の保険制度がありません。その結果、事故が起きた際、ご自身のケガだけでなく、相手の被害についてさえも、救済できないことがあります。
自転車は、道路交通法により車の仲間となり、軽車両に分類されます。
そのため自転車が歩行者と事故を起こした場合は、交通事故となりますし、そのときに交通ルールを自転車が守っていない場合は、自転車側の過失割合は高くなります。
さらに相手に被害を与えた場合は、民事責任だけでなく、刑事責任も発生します。
これらの自転車事故を起こしたとき、自転車は車より交通弱者だから、車の責任が圧倒的に多く 、自転車側が被害者だと考える方が多いのではないでしょうか。
しかし、近年では自転車側にも責任を問われるケースが増えています。
(過失割合について)
事故の解決では、一般的に過去の交通事故判例を基準に、お互いの不注意の程度を割合化します。これを過失割合といいます。
例えば、、、。自転車側(Aさん)に一時停止の道路標識のある交差点で、
自転車と車が事故を起こしたとき、
クルマだけに事故の責任があるわけではなく、一時停止をしなかった自転車側(Aさん)にも責任が発生することがあります。
仮に、車の修理費が30万円かかって自転車側(Aさん)に4割の責任があったとしたとき、自転車側(Aさん)は、30万×40%=12万円 を負担することになります。※こちらの事故の過失割合は、あくまで典型例です。実際の事故の場合、詳細な条件によって、過失割合の結果は異なります。
兵庫県や大阪府、滋賀県などの自治体では、近年の自転車事故による高額賠償の事例を受けて、自転車保険・自転車損害賠償保険等の加入を自転車利用者に義務化しました。
東京都や埼玉県、名古屋市のように、保険への加入を努力義務としている自治体もあります。(ただし、違反による罰則はありません。)
近年は特に、損害賠償額が高額化しています。
自転車が加害者になった場合、被害者の損害を賠償しなければなりません。
(学生だった場合は、本人・保護者ともに責任が問われます。)
「何かあったときに、安心できるから」
車の自動車保険に入っているほとんどの方は、こんな理由で保険に加入していると思います。
車と同じ”車両”として扱われている自転車も、交通事故を起こす可能性が十分にありますよね。自転車も車と同じように、「まさか」の事態に備える必要があるんです。
お子さまが、寝坊して、いつもよりスピードを出して学校に行っているとき。
見たいテレビがあるからと、急いでうちに帰っているとき。
「誰もいないと思ったから」
もし、曲がり角でスピードを出したまま歩行者にぶつかって大けがをさせた場合、莫大な治療費や賠償金を払う必要があります。
自転車事故で1億円の賠償請求が来てしまったときに、あなたは支払うことができますか?
お子様が万が一自転車事故を起こしたときに、相手の方に賠償金をしっかりと払えるように、自転車に乗る学生の期間だけでも、保険の準備をしてください。
掲載日 2017/03/10 最終更新日 2017/03/10